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第2話

真っ暗な世界 何も見えなくて聞こえない 突然俺の目の前に白い道が出来た その白い道の先には… 「雪斗」 俺の弟が立っていた。 あぁ。コレは夢の中みたいだ。 雪斗とは、俺の一個下の弟。 俺が巻き込んでしまって今はもうこの世にいない。 「りん」 弟が俺の名を呼ぶ コイツは夢の中でも呼び捨てか! 小さい頃は「にいちゃん!」とか「にーに!」とか可愛かったのに。 いつの間にか「お前」とか「りん」と俺の事を呼ぶようになっていた。 そんな弟。 もう夢の中でしか会えない弟。 雪斗が亡くなったのは、 俺が中3、雪斗が中2の頃だった。 その頃俺はいわゆる不良と呼ばれていて、 暴走族なんかに入っちゃったりしてて、 俺の入っていた暴走族 創神(そうしん)は、 全国トップの暴走族だ。 俺はそこの総長で、 ある日起きた抗戦に雪斗を巻き込んだ。 そのせいで弟はまだ14歳と言う若さでこの世を去ることになってしまった。 あれから2年間ずっと こうやって弟が夢の中で会いに来る。 俺の事を怨んでいるのだろう。 雪斗には将来の夢があったし、 まだまだ長い人生を断ち切ったのは間違いなく俺だから。 怨まれて当然だ。 雪斗が亡くなって俺は暴走族を辞めた。 両親には嫌われ追い出され、もともとあまりいなかった数少ない友達にも遠巻きにされ… 残ったものは、 兄的な存在の藤崎 律(ふじさき りつ)だけだ。 今はそいつがくれたマンションの一室で一人暮らしをしている。 高校卒業しとけよ!って言ってきたのもそいつだ。 「りん」 「何?雪斗。」 「りん」 「お前が俺の事怨んでるの知ってるよ。 そんな会いに来なくとも俺もう少しでそっちへ行くから待っとけば」 「りん」 「ほら消えろ」 手でシッシッと追い払う素振りをする。 いつも雪斗は俺の名を呼ぶだけ、 それ以上何かを言われたことはない。 会いに来るとゆうことは何か言いたい事が あるんだろうけど、ずっと何が言いたいのか分からないままだ。 まあ、それも俺が雪斗のいる世界に行けば その時分かるだろう。 その時になれば文句でもなんでもずっと飽きるまで聞いてやるよ。 意識がすぅーっと浮上する感覚。 雪斗とお別れの時間が来たようだ。 俺は、現実へ戻る。 「東雲!起きろ!!!」 「は?」 現実へ戻り目を開けると目の前には つい数時間前に見たあの教師がいた。 「東雲。俺の授業来るって言ってたよなぁ? もう俺の授業終わったしなんなら今から帰りのHRの時間なんですけど?どーゆーことだ?ん?」 「名前なんだったっけ?」 「え!?そこ? てか、さっきも自己紹介しただろ! 頭良いはずだよな?記憶力皆無じゃねぇか! 九条 灯弥な!次は覚えとけよ!」 うっさい。興味無い事はすぐ忘れるだけだわ。 次もすぐ忘れる。絶対忘れる。 何故なら興味無いから! 「へー、で。なんの用?」 その九条先生が俺になんの用だよ。 「…え、まさか約束も忘れたパターン?」 「お前の授業に出る出ないの事? 気が向いたら出ようかなぐらいだったから 行かなかった。以上。」 「それ確信犯じゃねぇか!」 「うん。そうですけど?」 「開き直ってんじゃねぇ!」 ハァハァと肩で息をしている九条… 歳か? 「まあ、落ち着けよ。」 「お前のせいだろ! とりあえずHR行くぞ!」 そっからヤツの行動は速かった 俺の腕を取りそのまま立たせ 引きずるように教室へ連れていかれたのであった。

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