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第6話
ややこしい。
全くもって理解し難い。
理解しろと高句麗には言われたが、そんな、はいそうですか。で、済む代物ではない。
なんだ?
なんで、アイツはああも涼しい顔をしていられるんだ。
それも、理解し難い。
アイツは、新羅は、親父には知らせるなと言うが、なにもありませんでしたでは、親父が納得いくまい。
仕方ない。
坊が、風邪でもひかれたということにしよう。そうしよう。新羅が着いているから、心配はないとそう報告しよう。
百済は、苦手な頭脳労働をこれでもかと働かせた。
糞。
アイツに一つ貸しだな。
俺に似合わん事させやがって。
広い肩幅を惜しげもなく広げて廊下を歩く百済だった。
青の部屋。
相変わらず静寂が支配している。
青白い顔をして眠る青の横には、新羅が正座して微動だにしない。
「坊……。」
ぽそりと呟き、徐に立ち上がると新羅は青の部屋を後にする。
向かったのは台所だ。
「あ、新羅さん!おはようございま」
「今日から坊の所帯は、俺がやる。」
「え?えええ!そんな!俺達がやりま」
「俺がやる。」
台所で朝食の支度をしていた若い衆が、あわてふためき制止するのも構わず、新羅は慣れた手付きでワイシャツの袖を捲り上げた。
「心配は不要だ。」
そう言って、これまた、手慣れた包丁裁きで黙々と料理をはじめたのであった。
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