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第1話
オレは独歩が好きだった。
独歩と初めて出会ったのは、小学生の入学式。
その頃の独歩も、やっぱりあまり笑顔も少なく、陽気とも言えない、子供らしくない子供だった。
けど、今のように精神的に病んでるような感じはなかった。
オレは何となく独歩から目が放せなくて、式の最中も終わってからも、ずっと目で追っていた。
どうしてかというと、独歩は下を向いていたからだ。
影であまり顔がよく見えない独歩は両親に手を引かれているのに、あまり嬉しそうじゃなかった。
「ねぇ、なんで下向いてんの?下向いてると楽しいことあんの?」
ついオレは話しかけていた。
オレんちはシングルマザーで、かーちゃんがオレが話しかけたのを、独歩の両親に謝っていたけど、独歩んちの両親は独歩の肩に手をおいて、
「うちの子は人見知りがはげしくた、男なのに情けない子なんだよ。独歩、挨拶しなさい」
「……」
「オレっちは一二三!!どっぽ、仲良くしよーよ」
そのときは小学一年生だったから、名札は全部ひらがなで書かれてあった。
だからオレは初対面でも独歩の名前は読めた。
オレが差し出した手に独歩が初めて触れたのはこのときだった。
独歩とオレの出会いは、ごく普通。
しかし、独歩とオレはいつからか普通じゃなくなった。
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