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第2話
「どっぽちん、ダイジョーブ?」
独歩と暮らし始めてもう約十年が経っていた。
始めは二人で暮らしたほうが経済的に楽だろうと同居をしたけど、今じゃ同棲という形になっている。
多分独歩は『同居だ』と言い張るだろうけど。
「みっ……みず」
独歩は今にも吐いちゃいそうな青い顔をして玄関に蹲っていた。
あの人見知りしてて可愛く両親に隠れてていた独歩は、今サラリーマンとして営業職をしている。
精神的には病んでるけど、人見知りしていたら営業なんて出来ないし、オレは独歩を尊敬してるし、好きだ。
普通の友達親友して好きでもあるし、恋愛対象としても好きだし、恋人としても好きだし。
寧ろ愛してる。
「ほら、水だよ。どっぽ〜、起きてる?」
「……なんでひふみがいるんら?」
「オレっち今日仕事休みって言ったデショ」
呂律も足腰も立たないくらい接待で飲み潰れた独歩を介抱するの、実はオレ嫌いじゃないんだよね。
だってなすがままなんだもん。
こんな可愛い独歩はセックス最中とデロデロに酔っ払ったときしかない。
水を飲んだ独歩をオヒメサマ抱っこして脱衣所でハダカにして、洗濯機で洗える独歩の背広と下着と靴下をぶち込み、予め温めのお湯を張っていた浴槽にチャプリと下ろした。
そしてオレもハダカになると、軽くシャワーを浴びてから浴槽に入った。
「どっぽ、ご飯食べた?」
「うー……、きもちいいなぁ」
何回か会話を交わしても、全く噛み合わないほどに酔ってるなら、今日はトコトン抱いても、独歩は『イヤ』とは言わないだろう。
「んーカワイイ!!どっぽちん、今日はもっとキモチイイことして愛し合おうね」
チュッとキスを求めると、自然とそのキスが深くなる。
素直な独歩はあのとき、小学入学式のころと可愛さが変わってない……。
「どっぽちん愛してる。どっぽちんは?」
「……おれもだ」
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