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第31話
本当か、と祐太朗はかすれた声で問うてきた。
「フリーになったよ、僕」
「解った」
祐太朗は何か言おうとしたようだったが、始業のチャイムが鳴り教師が現れた。
ホームルームが始まり、秀と祐太朗は生徒の顔になった。
『うん。……別れちゃった』
祐太朗は、教師の方を見ながら秀の言葉を思い返していた。
まさか、こんなに巧くいくとは。
1年生の時から好きだった、戸川。
吉牟田とくっついた時は、絶望した。
『フリーになったよ、僕』
戸川は、まんまと吉牟田と別れてくれた。
祐太朗は、込み上げてくる喜びを抑えるのに必死だった。
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