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第3話

 昼、パンを貪るように急いで食べ終えた寿は、パンを食べたのと同じくらい急いで教室からいなくなった。 「ちょ、速いっての!」  光一は食べかけの弁当を置いて、寿の後を追った。  寿が、駆けて行く。  いつも穏やかな顔つきでゆっくり歩く寿が、眼を大きく見開いて大慌てで走って行く。  そんな寿を見るのは初めてだ。  これは何か大事なのかと、光一は彼に声をかけた。 「どうした、前園。そんなに急いで!」 「校庭に!」  光一は、立ち止まるのももどかしいといった風の寿の返事に驚いた。  手短に、答えだけを残して走り去る寿。  彼のそんな行動が少し、いや、かなり気になった光一はその後を追って走った。

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