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第6話
光一は、ふんと鼻を鳴らした。
「女々しいなぁ、お前」
四つ葉のクローバーは、とても珍しい。
滅多に手に入らないことから、それを手にすると幸せが訪れると言われている。
寿が休み時間のたびにいなくなるわけは、その四つ葉のクローバーを探すためだったのか。
大林先生の健康を願って、幸せを呼ぶという四つ葉のクローバーを見つけ出しプレゼントするつもりでいるに違いない。
不良に絡まれているわけではない、と判ったとたん、光一は安心した。
そして、大林にわずかながら嫉妬した。
「ま、せいぜい頑張って探すこった」
夏の日差しは、暑い。
光一は、さっさと涼しい校内へと戻って行った。
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