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第3話

「あ、そうだ! 外部生らしいけど、ここの校風......じゃないね、特徴、かな? 知ってる?」 「特徴は特徴でもいいとは言えないけどな」  唐突に手を叩いて花崎が話し始めたことに首を傾げる。ついで、何かを確認することもなく佐久間に付け足された説明。  良くはない特徴......? 「うーん、なんだろ......弓弦、わかるー?」  学園パンフレットを思い出してみるも思い当たることがない。ぼーっと真顔でいた弓弦に振ってみる。多分分からないだろうなぁ、と思ってたんだけど、弓弦は迷うことなくすらりと答えた。 「同性愛が多いんだろ」 「新垣くんは知ってたんだね!」 「知ってんのに来たのか」  一瞬、固まる。 「え、......そうなの?」  思わずひきつった顔で確認すれば、まあ普通はそうなるよな、と言われつつ頷かれる。  ちらりと弓弦を見るも、知らん顔。まるで自分は関係ないとでも言ってるみたいで少しだけ腹が立つ。 「知ってたならなんで教えてくれないの」 「勉強に支障はない。し、俺の先輩がここにいるから知ってただけ」  そう言われれば、そうなんだけど、だ。弓弦の先輩、ってのは誰か分かんないけどまあいい。  確かに言われてみれば、クラスメイトのうち何人かは距離が近いような気がしなくもない。それこそ笑いあって恋人みたいに。  ......ああ、嫌だな。 「......鳴海、引いたか?」 「偏見とかあったら無理しない方がいいぞ」  困り顔で聞いてくる森田と花崎には少し悪いけど、気にしてるのは偏見とかじゃない。  ″ここなら弓弦も少しだけでも感化されるんじゃないか″――なんて、考えちゃってる自分に嫌気がさしてるんだ。 「んーや、ちょっとびっくりしただけ」  誤魔化すように笑顔を作れば、そーかそーかとまた普通の話題に戻っていく。  そんな中で少しだけ弓弦をもう一度見てみるけど、普段と変わった様子は全くなかった。

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