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その後の日々 『冬郷家を守る人』 7
「おはよう! 瑠衣」
「ん……もう朝なの? 」
「そうだよ。君が寝坊だなんて、珍しいね」
「……誰のせいだと……う、ケホッ」
「あぁ声が枯れているな。空気を入れ替えよう。この部屋は濃厚過ぎる」
瑠衣と共に再び訪れた日本。
今回の旅は、瑠衣の生母の霊を沈めるという非現実的だが、重大な目的があり、全てが解決するまで気が抜けなかった。
だから君に手を出すのは控えていたが、解決したと同時に我慢できなくなり、昨夜はここで君を抱き潰してしまったわけさ。
カーテンを開いて両開きの窓を全開し、新鮮な朝の空気を呼び寄せた。
秋の冷気が部屋を入り込み、君は剥き出しの肩を震わせた。
「ん……寒いよ、僕の服はどこ……? 」
生まれながらの色白な素肌を、自分の腕で抱き寄せて震えている。
そんな仕草が、また俺を煽るのを知っている?
「アーサー、服を……」
「いやだね」
「何を言って? 」
「君が煽るからいけないんだ」
「え? 僕は何も……」
全裸の君をベッドにもう一度押し倒し、手首を耳の横でシーツに固定して唇をすっぽりと塞いだ。
「んん、──駄目だよ。もう、朝」
「朝だからいいんだよ。よく見える。ここも、ここも……全部」
君の尖った胸の粒や薄い茂みを指先で辿り、昨日俺がつけまくった赤い花びらをぺろりと舐めてやると、瑠衣の頬は、みるみるうちに上気していく。
「瑠衣……瑠衣って綺麗な名前だ。日本語の……漢字の意味を知ってからますます気に入ったよ。瑠衣の『瑠』は、瑠璃という紫がかった紺色の玉・七宝の一つから、『衣』は包み込むもの。とても君らしい……優しい名前だな」
だから俺は以前のように『ルイ』ではなく『瑠衣』と心を込めて呼ぶ。
名前は……君の亡くなった母親が、君に唯一残してくれたギフトだから。
「アーサーに瑠衣と呼ばれるのは……好きだよ」
「俺も瑠衣と呼ぶのが好きだ。瑠衣……もう一度繋がろう」
「ん……いいよ」
「ありがとう」
「……本当はこの屋敷で抱かれるのは抵抗があるのに……今日は特別だよ」
瑠衣も肩の荷が下りたようでリラックスしている。だから、いつになく柔らかく微笑んでくれた。
君の母親……無事に成仏出来て良かったな。
まさか海里の実家を巻き込んでの騒動になるとは思わなかったし、おばあさまが昔、庭師の少年から託されたという『乳香』が必要になるとは……君があの日、命懸けで取りに行った意味が、今になり分かった。
「優しくて、可愛い瑠衣……いつまで経っても……俺の気持は十代の頃と少しも変わらないよ」
「恥ずかしいことばかり言ってくれるんだな……あ、お願い……窓を閉めて。声が漏れてしまいそうだ」
「大丈夫……まだ早朝だ。海里と柊一は、今日はきっと寝坊するだろう。柊一に至っては、起きられないかもな」
「またそんなことを……もうっ」
くすくすと笑う瑠衣の笑顔は、いつまで経っても儚げなままだが、そこがまたいい。
俺とふたりでいる時は、全部、俺に守らせて──
あとがき(不要な方はスルー)
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本日のお話は、アーサーと瑠衣が主役の『ランドマーク』の『君と僕の隠れ家』 と連動しております。
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