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霧の浪漫旅行 42
広間に漏れ出したのは、うっとりとした溜め息。
しっとりとした真珠のように輝く瑠衣の姿に、誰もが憧れの念を抱いていた。
「まぁ、何て美しい男性なの!」
「東洋の象牙色の肌が、真珠のように輝いているわ」
アーサーも、その様子を満足気に見つめていた。
「霧島瑠衣は、実際に『R-Gray』のスキンケアブランドを試用しています。このスキンケアブランドは、肌の再生を高め、潤いをキープする能力に優れているので、使い続けていただくと、肌が美しく生まれ変わっていくのを実感できるでしょう。また現在は無香料ですが、今後は日本の精油を取り入れたエキゾチックな癒やしの香りを纏った商品も発表します。さぁサンプルをお配りしますので、実際にお試しください」
「ぜひ、先行して販売契約を!」
「私のところでも扱いたいです」
拍手喝采!
賞賛の声が、波のように押し寄せてくる。
瑠衣は怯むことなく、胸を張っていた。
背筋を伸ばして立っていた。
「海里さん、瑠衣……とても綺麗ですね」
「そうだな。瑠衣はもう大丈夫なんだな」
「……僕の出会った瑠衣は……何もかも捨ててやってきた執事でした。執事の仕事に生涯を投じる覚悟でした。どこは張り詰めて寄せ付けない空気を纏っていました……でも今、目の前にいる瑠衣は……何もかも乗り越えて、愛溢れる世界に辿り着いた人です。最高に魅力的です」
「本当にそうだな」
柊一も感嘆の溜め息を漏らしていた。
「この瞬間に立ち会わせていただけて、良かったです。遙々英国まで来た甲斐がありましたね」
「ありがとう、柊一と一緒に、この光景を見られて良かったよ」
「僕もです。旅は間もなく終わりますが、僕たちの絆は深まり、続いていきます」
「そうだな」
タキシード姿で背筋を伸ばす柊一の姿も、瑠衣と同じように眩しかった。
「帰国したら、忙しくなりますね」
「そうだな。紅茶の件で打ち合わせも増えるだろう」
「あの……僕の夢を語ってもよろしいですか」
「いいね。教えてくれ」
夢を抱く瞳は、明るく輝いていた。
「冬郷家の一角に、紅茶直売所を作りましょう。部屋なら余っていますので……そこは、英国アンティークの家具で揃えた内装にしたいです。そして紅茶を試飲できるコーナーを簡単な喫茶コーナーを設けてはいかがでしょうか」
「いいね、君のアイデアはどれも素敵だ。脳裏にまざまざと浮かぶよ」
「泉のように湧いてきます……これは……海里さんへの気持ちと同じです」
「光栄だよ」
いつかの夢を抱き、日本へ戻ろう。
また会えるさ。
きっとすぐに会えるから、大丈夫だ!
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