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第1話
蒸し暑い、熱帯夜。
高津 伸(たかつしん)は、なかなか眠れず寝返りばかりうっていた。
エアコンは、エコ設定の28℃。
壊れて、これ以上冷やせないのだ。
「こんなんじゃ、寝不足でまた授業中に居眠りしちゃうよ」
「そりゃ、困ったな」
返事が戻って来たので、伸は飛び上がった。
「だ、誰!?」
暗がりから浮かび上がって来たのは、伸と同じ年頃の10代の少年だった。
髪は赤く染め、見慣れない制服を着ている。
「一緒に運動しようぜ。そうすりゃ、疲れて眠れるかもよ」
体がすくんで動けないところに、少年はベッドへ上がり込んできた。
少年の手が、伸の手首をつかむ。
その手はひんやりとして、今の伸には心地よかった。
だが、もう片方の手がパジャマのボタンをどんどん外していくではないか!
「ヤだ。何を……」
「だから言ったろ? 運動だよ、運動」
勢いよくパジャマの下も脱がされて、伸は悲鳴を上げてもがいた。
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