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第29話

「アレだな。息子の成長に感激したんだな」 「よく言うよ。僕だって、心配してるんだからね」 「大丈夫。伸がいる限り、もう二度と脇見はしねえから」 「ちょ、調子いいんだから。もう」  顔が赤くなる。  そんな伸の頬に、隼人が優しくキスをくれる。  親戚の結婚式に出掛けた両親が戻るのは、3日後。  それまでは、この家で隼人とゆっくりできる。  仕事帰りの隼人と、伸は温かな家にいた。  エアコンは新調してもらい、温度設定も自由自在だ。  それでも、伸はエアコンを入れなかった。  こうやって、二人で寄り添っていたいから。  ふたり寄り添っていた方が、何倍もあったかいから。

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