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第12話

「隼♪」  後ろから抱きつかれて、飛び上がった。  振り返ると、そこには愛らしい年下の少年が笑顔を向けていた。  圭。  昨日の事など、まるで気にしていないような明るい笑顔。  だが少しだけ眼を逸らせて、昨日はごめんなさい、と言ってきた。 「転ばせちゃって、ごめんなさい。怒ってない?」  あぁ、この天使は俺の罪より自分の咎の方を気にしているのだ。  やっぱり可愛い、なんて可愛いんだ、圭!  怒ってねえよ、と言うと、嬉しそうににっこり笑った。  そして、手にしがみついてきた。 「今日の授業は、何だった?」  隼は、返答に詰まった。  まるで覚えていないのだ。  だが、ここで話を切ってしまうのは惜しかった。せっかく仲直りできたのだ。  適当なことでもでっち上げて、後につなげたかった。 「今日もまぁ、体の事を色々とな」  じゃあ、と圭は目を輝かせた。 「また、教えて。体の事」

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