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第25 孕み族の性 5 ※

「あっ!あーーッ!…い、ゃっめ…あぁぁぁーーー…っ…ッ!」 空気を震わせるのは、もうだいぶ掠れてしまった声だった。 細く長い悲鳴が漏れ、大きく腰が跳ね上がる。強い強ばりが指を何度も締め付けて、レフラの身体が崩れ落ちた。 「気を失ったか」 確認するように、掌に収まる茎の先端を軽く爪で弄ってみる。刺激へ本能的な身じろぎはあっても、さっきまでの反応とは全然違っていた。 「これで終わってやるから、ゆっくりと休め」 すでに意識が沈んでいるレフラには声は届いていないだろう。思いつつもギガイの口から労るような言葉が紡がれる。 跳び族としての(さが)を満たす為の快楽は、レフラ自身への戒めとしても、十分効果があったはずだ。 相変わらず身体の内に存在している燻るような苛立ちを、大きな溜息一つで押さえ込んだ。 感情がここまで乱れる事など、最近では全く無かったはずなのに、レフラの事になると理性と感情の振り幅が大きくなる。一日にも満たないこの数時間だけでもこの有様だ。ギガイは何とも言えない疲労を感じた。 それでも、傍らに横たわるレフラの姿を見つめ直せば、心の底から愛おしさが湧いてくる。 癒すようにレフラの身体をなぞっていく。もしレフラに意識があったなら、今まで自分を追い詰めていた手と、同じものだとは信じられなかっただろう。 色々な体液で濡れた身体に泣き腫れた眦が相まって、あまりに酷い有様だった。引き剥がしたシーツでその身体を包み込んで、ギガイは膝の上に抱え込んだ。 そのまま枕元近くの装飾部分へ手を伸ばす。一見すると分からないほど巧妙に装飾に紛れた抽斗から、掌サイズのベルを取り出す。 それをギガイが軽く振れば、ベルからは澄んだ音が小さく響いた。 決して大きくないその音は、小さな余韻だけを残してすぐに空気に消えていった。 人払いをしたせいで、ベルの音が聞こえる範囲には、用聞きの為に控える臣下は残って居ない。だか音ではなく共鳴で知らせる特殊なベルだ。ギガイの鳴らしたベルの波動も、遠く離れたベルへ共鳴したのだろう。その証に駆けてくる足音が、複数人分。壊された扉へ近付いて来るのが聞こえてきた。 「お呼びでしょうか?」 「あぁ」 真っ先に声を掛けてきたのは主席近衛官のリュクトワスだ。 素早く膝を付いた男達を一瞥して、ギガイが横柄に頷いた。 「とりあえず私の御饌を宮へ移す。私の服を持って来い」 リュクトワスの背後に控えた者が一人、一瞬深く頭を下げて黙って部屋を出て行った。 「エクストルはどうしている?」 名前を出すだけでも思い出される怒りで、身体中の血液が沸騰しそうだった。 正直あのまま殺してやりたかった。だがそうできない理由に、あの時のギガイは必死に衝動を押し殺したのだった。

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