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第33 自由を求めた代償 4 ※

「ーーーー!!」 ひだを舐められる感触にレフラが大きく目を見開いた。とっさに後孔に力を込めてギガイの舌の侵入を拒む。それでも呼吸で緩む瞬間を狙って少しずつ窄みを犯していく舌先に、身体がますます震えていた。 声の代わりにせめて息を吐き出せれば良かったのに。それさえも余計に嬲る舌の侵入を許す気がして出来ないまま、詰まる息が羞恥や不安を増長させた。 どんなに拒もうとしても差し込まれる刺激が、行為に馴れていないレフラの心を抉り、身体を竦ませる。思わず締め付けてしまった事でハッキリと伝わってくる生々しい感触に、思わずレフラはシーツを這った。ズルズルと前方へ逃げを打てば、綺麗に張られたシーツに歪なシワが残っていく。 ズルリと孔からギガイの舌が抜け落ちた。その感触さえも酷く辛くて、レフラの腰が小刻みに震え、声を堪え続けた喉奥は、ヒクヒクと何度も痙攣を繰り返していた。 それでも含まされた舌が完全に抜けきってしまえば、ようやく呼吸が楽になり、強ばっていた身体から自然に力が抜けていく。 思わず口から安堵の息が零れ出る。 だが、それもほんの一瞬の事だった。 「抵抗を止めろ、務めを果たすのではなかったのか?」 務めという言葉にレフラの身体がビクッと跳ねる。逃れようとカリカリとシーツを掻いていた指先で、ギュッと強く布を握った。 受け入れなくてはいけないのに。覚悟を決めたはずだったのに。一体自分は何をしているのか。 (これは御饌の務めなのだから…) どんなに辛くて、恥ずかしくても、逃げ出して良いようなものではない。 レフラはシーツへ縋るように這いつくばっていた身体を引き戻し、舌を受けやすいように腰を高く引き上げた。自分から差し出すような姿が恥ずかしすぎて、目の奥が熱くなって視界が揺れていた。 「濡れていなければ辛い思いをするのはお前だろう。それとも私のモノを乾いたままで受け入れるつもりか?」 逃げ出した罰だとでもいうように、まだわずかな潤いだけしかない後孔へギガイの指が潜り込む。 一気に根元まで差し込まれ、そのままグルリと回された指が内壁を手酷く刺激する。経験した事がない痛みに鋭く息を吸ったレフラの身体を掌で捕らえて、ギガイが大きく出し入れをした。 (いたい、いたい、やだ、いやだ、もう逃げない、逃げないから入れないで、そのまま入れたりなんかしないでーーー!) 訴える声も許されず、差し出した姿勢から崩す事も許されず。そのまま受け入れさせられる恐怖に思考はぐちゃぐちゃだった。堰を切って溢れ出す涙を押し当てたシーツで吸い込ませて、漏れそうになる嗚咽は手の甲を噛んで必死に耐える。 まだ固い窄みを無理矢理開かれ、潤いが足りない内壁を擦られるのは、想像を絶する痛みを生んだ。それなのに痛みに戦くその場所へ差し込まれた指の動きは激しくなる一方だった。 入口を引っかけるように指を抜かれ、痛みに強ばったその場所に二本に増やされた指が容赦なくねじ込まれる。 レフラを今まで支えていた矜持や覚悟が、痛みと穿たれる激しさに翻弄されて、身体と一緒にボロボロになっていくようだった。 (もういやだ、やめて、ちゃんとするから、おねがいだから、おねがいだから、ゆるして…) 伝えられない懇願を乗せて必死にレフラが首を振る。声を堪える為に噛んだ手の甲からは、僅かに鉄の味がした。

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