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第34 自由を求めた代償 5 ※

乾いた粘膜を指に絡めて引き出すような、痛みが何度も苛んだ。耐えきれないと伝える事さえできないまま、甚振られ続けたレフラの身体はいつ限界を迎えてもおかしくない。そんな中、不意に止まったギガイの指。そして背中からは、わずかな重みと体温が、じんわりと伝わってくる状態だった。 「どうする。このまま受け入れるか?これが最後だ、よく考えろ」 ひたすら泣いて堪えるしかなかったレフラの耳元で、吐息交じりに聞こえた低い声。これだけレフラを嬲りながら、ギガイの声はどこまでも温度を感じさせない声だった。 その声がなぜか深い怒りを含んでいるように、レフラは感じて怖かった。 きっとここで意地を張れば、この主は本当にやるのだろう。今以上の痛みを伴うはずのそれを、一切の手心さえ与えてくれる事などなく。 指だけでもこんなに辛いのに、ギガイのモノを受け入れられるとは思えない。レフラはよろよろとシーツに埋めていた顔を上げて、後ろのギガイの方へと振り返った。ひどく身体も心もボロボロだった。そんな状態の中で、縋るようにレフラは首を横へ振った。 真っ直ぐに向けられた力強い眼光とレフラの視線が絡まり合う。その瞬間、僅かに目が見開かれたように見えたのは気のせいではないだろう。 (きっと驚いたんだ。こんなみっともない顔に…) 入れればいいと言ったのも、気遣う必要がないと言ったのもレフラ自身だったはずなのに。言葉に反して、態度も、身体もぐだぐだだった。 全然上手く務めをこなせずに、幼子みたいに泣くしかない自分の姿は、ギガイを呆れさせただろう。それどころか、覚悟さえもきっと疑われているはずだ。 だからこそ、今のレフラが御饌としてできる精一杯の務めとして、ギガイに命じられた声だけは漏らすわけにはいかなかった。 ギガイの視線に晒されて、情けなさに辛くなる。できることなら、今すぐにでもその目から隠れてしまいたかった。だけど言葉が紡げない今、許しを請う術が他にはなかった。 レフラは逸らしてしまいたくなる気持ちをどうにか耐えて、ギガイの冷めた眼差しを見つめ返した。そんな縋るように向けるしかない視線だけで、ちゃんと気持ちは伝わるだろうか。 わずかに走った無言のなか、ギガイの口元がかすかに歪む。 「頑なだな」 ほんの一瞬の表情やその言葉が何を意味した事なのか。レフラには全く分からなかった。それでも。 「まぁ良い。濡らして欲しいならこちらへ向けろ」 つい今まで弄われていた後孔を、もう一度自分から差し出せと言われた事は理解した。

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