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第35 自由を求めた代償 6 ※
乾いたままでこれ以上嬲られるのは辛すぎた。このままギガイのモノを受け入れる恐怖に、ずっと許しを請うていた。濡らして欲しいと縋ったのはレフラ自身なはずだった。
だけど、たった今まで甚振られていた場所なのだ。初めて経験した柔い粘膜への想像を超えた痛みは、今もハッキリと覚えていた。そんな場所を差し出すのだ。自分から。
される事がハッキリと分かる今だからこそ、羞恥とそれを上回る不安に正常な思考が停止する。狼狽えて視線を彷徨わせたレフラの耳に「早くしろ」とギガイの声が催促をした。
震える手足をどうにか動かしたレフラが、シーツへもう一度上体を伏せて、腰だけをギガイの方へと差し出して見せる。
「濡らして欲しい場所を向けろと言っている」
だが聞こえてきたのはそんな無情な声だった。
そんな事は分かっている。だからこそ、こんな情けない格好をレフラだってしたつもりだった。言葉の意味が分からずに戸惑うしかないレフラの尻臀をギガイの掌が軽く叩いた。
パンッーー。
叩いたと言うには衝撃も音も軽かった。それでも脆くなったレフラの心を抉るには十分だった。
(どうして、ちゃんとやっているのに)
求められている事が分からない。それでも立て続けに振り下ろされるギガイの手に、抱えていた不安が膨らんで、レフラの目から大粒の涙が溢れ出た。
混乱したまま何も出来ずにいる内に、再度尻を叩かれる。
「向けてこないという事は、濡らす必要がないって事か」
一番恐れていた状況にレフラが必死に首を振った。不安でもちゃんと向けているはずなのに。なぜ、と思う気持ちに加えて、これ以上は臀部を打たれる事も辛かった。
他に何をすれば良いのか分からない。だが、そんな中で、打たれて熱を保っていた臀部から、擦っていた掌が外される。次の気配を感じ取り、とっさにレフラが両手で尻臀を開いてみせた。
秘されているべき孔が外気に晒されヒヤリとする。その感覚がいっそう羞恥と不安で心を苛んでいく。これが正解だったのか、レフラには全く分からなかった、
ただ、覚悟していた次の衝撃は訪れず、代わりに広げるレフラの手の甲に温かいヌルッとした物が這わされた。
「お前は私の御饌だ。お前自身であっても勝手に傷付ける事は許さない」
声を堪える際に噛み切った手の甲の傷を舌で辿っているのだろう。ヌルッとした感触と共にピリピリとした痛みを感じて、レフラが小さく頷いた。
「噛みたければそれでも噛んでいろ」
顔の横にパサッと布が落ちてくる。ギガイ自身の匂いのするそれに顔を埋めて、レフラが唇で口腔内へ手繰り寄せた。
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