233 / 382
第30 移り香を咎めて 9 ※
「……すまん、やはり抱いても良いか? さすがにこうも煽られては限界だ……」
そう言いながらもギガイの手が優しくレフラの頬に添えられる。だけどその手は驚くぐらい熱かった。
「お前がどうしてもムリなら堪えよう。だけど可能なら抱かせてくれ」
唇が顔中に落ちてきて、答えを促すように唇を何度も食んでいく。その都度にレフラの濡れた唇を掠める吐息さえも熱かった。
いつも交わる時さえもどこか余裕を感じさせる主だった。そんなギガイにしては珍しい姿にレフラの腹の奥がきゅんと疼いて、レフラの中でも熱が上がる。
ますます刺激を求めるように、後ろが疼いて蜜がとろりと溢れ出す。身体がギガイの熱を欲しがっていた。
「……わ、わたしも、したいです……」
いつもより熟れた身体で、いつもよりも貪欲に求めてしまう状態なのだ。身体はきっとツラくなる。それでもそんな不安を凌いでしまうぐらいに、求められている状況が嬉しくて、どうしてもそんなギガイの熱が欲しくて、心が甘く疼いていた。
「……、それならすまんが、このまま受け入れてくれ。できる限り負担にならないよう務めよう……大丈夫か?」
「はい、だって……ギガイさまは……むちゃな、ことは…し…ないもの……」
日頃からレフラへ損なうマネだけはするなと言い続けるギガイなのだ。すれ違った日々の仕置き染みた交わりを除いては、ギガイ自身がする意地悪さえ、レフラの限界を見極めて決して身体に負担が残るマネはしたことがない。
「そうか……」
情欲が滲み出しながら、それでも愛おしそうに目を細めたギガイがもう1度キスをくれた。それが再開の合図だったのか、レフラの茎をギガイの指がなぞっていく。いつイってもおかしくないぐらい張り詰めた茎なのだ、それだけで弾けそうになった茎の根元をギガイが指先だけで塞き止めた。
「あっやっ…なっ、なんでっ…いか、せて……っ」
意地悪なオーラはどこにもないのに、なぜイかせてくれないのかが分からない。そのまま塞き止める指をカリカリ引っ掻きながら、またジンワリと涙が浮かんできた目をレフラがギガイの方へ向けた。
「……1度イカせてやった方が楽だろうが、何度もイケば今日は身体がキツいだろう。それにもう私も入れさせてくれ……」
前を微妙な力で塞き止められて、そのまま持ち上げられるように開かれていく。
「っあ…ぁぁ、あっ、ぁぁ、…あぅっ…」
敏感過ぎる内壁を擦られる感覚はその熱や太さをより一層伝えてきて、受け入れるレフラはいつも以上に苦しかった。
「大丈夫か? ほら息を大きく吐き出してみろ」
それでもひどくゆっくりと押し開いていくギガイが、息が詰まる度に動きを止めて、何度もレフラに声を掛けてくる。ついに臀部へトンとギガイの太股が触れた時には、ギガイの頬から汗が伝い落ちていた。
きっと今すぐにでも動き出したい、快感を得たいはずなのだ。それでもレフラに合わせて必死に堪えてくれる姿にレフラの身体がまた疼いた。
「ギガイさま…うごいて……もう、だいじょうぶ…です……だから、うごいて……」
その言葉を切っ掛けに、ギガイの腕に揺すられて、熟れすぎた粘膜を何度も何度も擦られていく。その激しすぎる快感に、止めきれない嬌声がレフラの喉を割いていった。
「あっ!あーーッ!…あぁっっ……!」
その声がもう自分の声だと認識さえできなくなる頃、急激に訪れた解放にレフラの目の前が明滅する。フワッとした浮遊感に似た感覚の喪失にレフラが縋るように手を伸ばした。そんなレフラの身体に感じたのはきっとギガイの腕だろう。
身体を強く抱き締められる感触に、レフラはホッと力を抜いた。
ともだちにシェアしよう!