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第四章・29
「昨夜は……久々に、一緒に揃って晩飯を食べた。イカの刺身に、ゲソとワタのホイル焼き。ネギはあいつが刻んでくれてな……。後は、タケノコご飯に新牛蒡の味噌汁。イワシの生姜煮とほうれん草の胡麻和え……。美味かったな……」
まぁ、そんなところだ、としみじみ話す衛先生に、生徒は感動していた。
これが……、これが、大人の恋か!
特段刺激的でもなく、ごく普通の日常を温かく分かち合える。
そんな落ち着いた関係。
だが、いざ恋人が窮地に立たされると万難を排して駆けつける。
それが、衛先生の愛なのだろう。
「では、授業に入る」
そんな大人の背中を見ながら、生徒たちはまたひとつ成長した。
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