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3、来訪者 つづき
「お前…、ノンケかよ」
誠はキョトンとする小山をまじまじと見る。触れたいだのなんだの、言っておきながら男としたことないだなんて。
そんな誠自身はれっきとした(?)ゲイである。最近、恋愛してない相手も当然男。だからこの先の流れも分かっている。
「入れるとこなんてひとつだろ」
「入れられる方の身にもなれよ!慣らさないとイテェんだよ!」
「…白河さん詳しいね」
そう言いながら、小山が誠に近づいて手を伸ばしてくる。このままだと小山は慣らしもせずに挿入してくるはずだ。
伸びてきた手を掴んで、ブンブンと頭を振る。
「今日のとこは無理だから!お前無理矢理する気だろ」
「じゃあ、俺のこれどうすんの」
目線を下にしてみると、小山のソレが大きく主張している。
(そりゃまあ…そうだよな…)
まじまじと見ながら今度は誠が手を伸ばして、ソレに触れた。自分のよりも大きいソレをゆっくりと扱く。
「…つ」
ピクッと小山の身体が揺れた。そのまま強く弱く扱く。あまり顔に出るタイプではないようで、反応しつつも顔色を変えずに、ジッと誠を見ていた。対する誠は少しずつ大きくなっていくソレに顔を赤らめながら、息が上がってきていた。そして、さっき果てたはずの自分自身がまた復活してきて、腰をモゾモゾと無意識のうちに動かしている。
「白河さん、俺の見て感じてんの?男のこれ見ながらって変態だね」
「うるせえよ。お前も処理したいだろ」
誠は立ち上がり少し小山の方に近づいて、小山のソレと自分のソレを重ねて両手で二本を同時に扱き始めた。だんだんと淫らな音が大きくなり、誠が声を上げ始めた。
「あ…あっ…は…」
その様子に、小山がにやりと笑う。
「気持ちいいね、白河さん」
「お前…、何でそんな、余裕ある…っ」
「ああでも、気持ちいいですよ」
そう言うと、誠の耳たぶを舐める。
「ひっ…!」
「…その顔、たまらなくそそります」
(あ…)
小山のポーカーフェイスが一瞬崩れる。眉を潜めたその顔に、誠の背中がゾクリとした。
余裕がなくなってきて、誠は肩で息をする。
「んっ…はあ、やっ…もう、イク」
「一緒にいきますか」
誠の手を払い除けて、小山が二人のソレを包み込んで強くしごいていく。突然交代され、強い刺激に誠の嬌声が止まらない。
「あっ、やぁ…っ、あっ、ダメっ」
ビクっと身体を大きく揺らさし、二度めの頂点に達したとき、小山も精を吐き出した。
結局その後、小山を泊めてやった。隣で寝ている小山の顔を誠が覗き込んでいる。
(やっぱり、好みなんだよなぁ)
さっきの一緒崩れた顔も、眠っている顔も。銀髪に口元のホクロ。少し長いまつ毛。
昨日初めて会ったばかりで、ここまでするなんて誠には体験したことがなかった。身体だけを求めるような関係は未体験だ。小山の挑発に乗ってしまったのが、冷静になれば恥ずかしい。
だけどこの顔から背けられなくて誠はそっと唇を重ねた。すると小山の腕が誠の身体を引き寄せた。
(う、わ)
さっきまでの態度が嘘のように、優しくふんわりと誠の身体を包み込んでいた。
小山は無意識なのかそのまま寝ているようだ。ということは、いつも一緒に寝ている相手がいるのだろう。ノンケであるなら相手は女の子のはずだ。
(まあ今だけ…)
そう思うことにして、誠は小山に抱き寄せられたまま眠りに落ちた。
***
「次、いつ会えますか」
翌朝。誠の部屋を出る玄関先で靴を履きながら、小山がポツリと言った。小山の背中を見ながら、その言葉に誠がギョッとした。
「次…?」
靴から目を離して、振り向いて誠を見た。
「だって、入れてないじゃないですか。白河さんも、今日のところは無理って言ってたからじゃあ他の日があるんだなって」
その言葉に一瞬、引っかかった。
(入れるだけなら女の子でもいいだろうに)
誠は少し苛立ちをみせた。結局男だろうが、女だろうが。どこの誰だろうがいいのだろう。そもそも、昨日まで知らなかった仲だ。
無意識に優しく抱きしめてくれた腕を覚えていただけに、タチが悪い。
その気持ちが顔に出ていたのだろうか。小山は前を向き靴を履く。
「…まあ、いいですけど。白河さんが乗り気じゃないなら」
連絡してくれたらいつでも、と言葉をなげて玄関ドアを開ける。
「……」
何も言わない誠を一度だけ見て、小山はそのまま行ってしまった。
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