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始まりの予感─9─

『夏までに彼女つくるなよ』  そのメッセージを見て、思わず噴き出す。 「出来るわけないってわかってて言ってるだろ」 「いや、意外と狙われてるかもしれないぜ」 「万が一狙われてたとしても、夏祭りは真嶋と行くよ」  あっ、と真嶋が大声を出す。どこからか咳払いが聞こえて僕らはさらに隅の方へと身を潜めた。 「なんだよ、急に」  声を潜めて真嶋を睨みつける。 「いや、だって初めて俺の名前呼んでくれたから」  そうだったっけ、と自分の言動を思い返してみる。真嶋はひとりでガッツポーズをして喜んでいた。名前を呼ばれただけで大袈裟だな、と思いながらも、つい僕までつられて笑ってしまった。

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