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始まりの予感─8─

「まあ、とりあえずその写真でいいんじゃない」  真嶋の声にはっと我に返る。僕はぼやけた花火の写真をアイコンに設定した。 「よし、それで完成。はい、QRコード出して」 「QRコード?」  きょとんとする僕に、彼がそんなことも知らないのかといった表情をする。 「もー、ちょっと貸して」  スマホを握る僕の手の上に真嶋の手が重なる。また、心臓がドキドキとうるさくなる。華奢な僕の手とは違い、彼の手はごつごつとしていて熱かった。  真嶋の指が流れるように動き、僕のスマホの画面にバーコードのようなものが現れた。それに彼が自分のスマホを近づけると「はい、完了!」と言って手を離した。 「俺のスマホに黒澤登場!」  笑いながらぼやけた花火の写真のアイコンとフルネームで入力した僕の名前を見せてくる。それから慣れた手つきで何かを打った。僕のスマホが震える。  画面に映し出された犬のアイコンと『あおい』の文字。それをタップすると、彼からのメッセージが表示された。

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