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第一章 それは一枚の写真から始まった

 梅宮 准(うめみや じゅん)は白い洋形封筒を、にこやかに佐々木 秀斗(ささき ひでと)へ差し出した。 「はい、これ。こないだ、水族館に行った時の写真」  准は、秀斗とデートをするたびに、写真を撮った。  そして、その中でも最高の一枚を厳選してプリントアウトし、お互いで一枚ずつ持っていた。  カフェでの一枚、公園でのツーショット、遊園地での笑顔……。  自撮り棒を手放すことなく撮りためて来た写真は、ポケットアルバム一冊分になっていた。  そのアルバムの、最後の一枚を飾る、記念すべき写真。  だが秀斗は封筒から写真を取り出し眺めると、それを准へと返してきたのだ。

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