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第6話 兄弟
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兄さんと僕
兄弟①
セッティング
捨てないでと、離れたくないの言葉を連呼している。一緒に暮らさないかって言った瞬間に陸の顔が変わった。自分の過去が知られると捨てられるとでも思ったのだろうか。陸にとっては知られたくない過去だったのかもしれない。
陸の両親は陸が幼い頃に亡くなっていて、陸は養護施設で育った。その後、陸を引き取りたいという男性がきて、陸を連れ帰ったらしい。2週間がたち、2人の行方がわからなくなり、路頭に迷った矢先に、陸はその男性に捨てられたらしい。その男性からは暴行を受けていたのがわかった。また、保護してくれていた警察の人からも暴行されていたらしい。そこから考えると、俺が警察の所に行くと言って、陸が怯えたのにも納得がいく。要するに、誰にも愛されたことのない子供なんだ。優しくされたことがないのだろう。
「なあ、陸、もう一度聞くぞ?俺と一緒に暮らさないか?」
「え…でも…」
「陸は俺が嫌いか?」
「!?いいえ…いいえ…!そんなこと、ありません…でも…」
「でも?」
「か、霞さんは、僕のこと…嫌いじゃないんですか?」
「嫌いなわけないじゃないか。嫌っていたら、最初から家に入れてないよ?」
「あ…うう…」
「他に行くところがないならここにおいで?俺の両親も、どうせなら弟にしたらどうだって言ってくれてるんだ。」
「…本当に、ここにいてもいいんですか?迷惑になりませんか?」
「迷惑になんかならないよ?俺は陸がいいんだ」
「……に…さ…」
「ん?」
「…にぃ…さん…」
「え…」
「兄さん…僕、ずっと兄さんと一緒がいいです。」
「陸…。ずっと一緒か…」
「え…?」
「いや、なんもねーよ。」
そういや、誰かが隣にいるって久しぶりだな。ずっと一緒か…。誰かといるってこんな感じなのかな。
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