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第5話 安心感

陸の側に駆け寄った。俺はすぐさま抱きしめようとしたが、俺に触れられるのも嫌がるように、怯えた目で俺を見つめ涙を流していた。そんななか、ふと陸の名前を口にした。俺が陸の名を呼んだほんの一瞬だけ、陸の表情が柔らかくなった気がした。すかさず俺は陸を思いきり抱きかかえた。陸の手が俺の服の袖をつかみ、行かないでといわんばかりに強く握り、涙を流していた。 車へと急いだ。陸の体が熱くなっていることに気づいた。熱がでたらしい。この寒いなかで裸にされて暴行されていたんだ。熱がでるのは目に見えているようなものだった。 家についた俺は、陸の体を拭き、寝間着を着せてから布団にいれた。熱がかなりたかい。病院にいこうにも、この怪我のあとをどう説明したらいいかわからなき。ましてや、この熱のある体でまた外へ出れば、余計悪化するおそれがあった。 「陸…ごめんな…」 俺は、あやまることしかできなかった ~~~~~~~~~~ あたたかい…僕…抱きしめられてるの? ぼんやりとだけど顔がみえる…霞さん…? 目が覚めたときには朝だった。ズキズキと痛む体を起こして辺りを見る。頭のなかには、まだ暴行されたときの記憶が残っている。僕は怖くて頭をかかえた。ふと、霞さんが視界に入らないと分かったとたんに、よけいに「怖い」という衝動にかられた。またあの男の人たちがくるのではと考えると、不安でたまらなかった。 「陸!」 僕の体があったかいものに包まれた。 「ごめん…1人にして…ごめんな…大丈夫だから…」 あ…霞さん…。 霞さんの顔をちゃんと見るの、久しぶりな気がする。 「でも良かった…無事で、本当に…」 「霞…さん…」 「悪いけど、お前のこと調べさせてもらったよ。生い立ちや今までの生活とか。」 え…?調べたって…僕のこと?いやだ…そんなの…絶対嫌われるもん…!やだやだやだ…!嫌いにならないで…!捨てないで…! 「そ、そんな…やだ…嫌わないで…」 「ど、どうした陸…」 「いやだ…おねがいだから…捨てないで…ひっく…ぐす…ううう…うああ…」 捨てられてしまうかも、嫌われるかもって思ったら、涙がとまらなくなった。 「大丈夫、大丈夫…捨てないよ…嫌いになんかならないよ…俺はただね、一緒に暮らさないかって言いたかったんだよ…」 え?僕は耳を疑った。な、なんで?一緒に住むって…嫌われたんじゃないの?

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