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 俺はそれに答えず、頭の中をフル回転させてほんの少しでも希望を見出そうとした。  俺がいなくなったことにそろそろ皇牙が気付いたかもしれない。今夜はあれ以降ステージに立つ予定はなかったけれど、……閉店後、何よりも大事な皇牙との約束が待っていたのだ。  皇牙が俺の不在に気付いたなら、どういう可能性を考えるだろう。先に帰ったと思うだろうか。家にも俺がいなかったら、街に探しに出るだろうか。  前にダチュラであった闇示との一件を、思い出してくれるだろうか。 「………」  皇牙――。 「さて。そろそろ踊ってもらおうか、亜蓮・ストリッパー」 「……そうしようにも、両手が拘束されてるんじゃ踊れない」  呟いた瞬間、闇示の背後で灰色のドアが開いた。  中に入って来たのは知らない二人の男。上半身は裸で、SMパフォーマーが穿くような黒革のロングパンツを穿き、目だけを隠す仮面を付けている。 「………」 「素晴らしいパフォーマンスを期待しているぞ。いつもより鎖が多いが、それもまた一興だな」  現れた二人の男が俺の左右に立ち、ゆっくりと胸元から乳首を撫でるように手のひらを擦り付けられる。俺は眉根を寄せたまま目の前で嗤う闇示だけを睨み据えていた。  拘束された両手。あげられた右腕から脇の下に男の舌が這う。左側では男の唇が俺の乳首に被せられ、本物のパフォーマンスの時と同じようにゆっくりと啄まれた。本物と同じ――これは目の前のこの男、闇示一人に見せるためのパフォーマンスなのだ。 「もう少し色っぽい顔をしたらどうだ、亜蓮。強がるのも良いが、その分後々情けない姿を曝け出すことになるぞ」 「……うるせえ」  闇示の口元が嬉しそうに歪む。 「お前達。彼はその程度じゃ踊ってくれないみたいだぞ。もう少し強くしてやったらどうだ」 「っ……!」  その言葉を合図に、啄まれていた乳首に男の歯が立てられる。一瞬の痛みに背中がビクつき、同時に両手の鎖が音を立てた。 「その調子だ、亜蓮」  じんじんと痛む乳首を男の舌が這い、熱い息がかかる。右側の男が俺の尻をパンツの上から鷲掴みにして、胸から脇腹にかけてキスを繰り返しながら徐々に下へ降りて行く。しゃがんだ男の腕が俺の右脚に絡み、内股を撫でながら膝から太股を舐め上げた。 「お前にも皇牙にも、ダチュラにも怨みがある訳じゃねえ。俺はただ楽しく人生を謳歌したいだけさ。レッド・タランチュラをもう少し一般に広められるように実験を繰り返しているが、皇牙にはいつも邪魔されてる。……だが別に怨んじゃいねえ、ダチュラでモルモットを探しているのは、ウチの男娼を死なせたくないという俺の身勝手だしな」 「………」

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