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「やめろ……クソッ、……触るなっ!」  左右同じ動きで、男達の手が俺のパンツを下ろして行く。レザーで押さえ付けられていたそれが呆気なく飛び出し、目の前が涙で潤んだ。  近付く二人の舌。毒を含んだ唾液。震える俺のペニスにまず音を立ててしゃぶりついたのは、右側の男だ。 「んあっ――あ、ああぁっ!」  未だかつて感じたことのない、強烈な刺激。ペニスにスタンガンを当てられたような鋭い痛みが――一瞬のうちに、抗えない快感に変化して行く。 「い、やだ、ぁっ……! 放せっ、……やめてくれ……!」  金属音を放ちながら蛇のようにのたうつ鎖。男の唾液と舌で弄ばれるペニス。その下の膨らみをもう一人の男に頬張られ、口の中でめちゃくちゃに蹂躙される。 「う、あっ……! もう、やめろ……! あぁっ!」 「最高だぜ、亜蓮。……その顔、体。皇牙にも見せてやりたいくらいだ」  俺の全身を赤い蜘蛛が這いずり回る。ナカが疼いて堪らず、腰の痙攣が止まらない。 「あぁっ、は……あっ! ん、あぁっ……!」  男達の舌が左右から俺のペニスを舐め上げる。濡れた音が俺の鼓膜へ入り込み、耳の中までもが犯されているような気持ちになる。 「や、ぁ……!」  俺の体内にも毒が回り始めているのか、次第に何かを考えることすら難しくなってきた。涙が溢れるのは屈辱と恐怖のせいだけじゃない。  ――皇牙。 「あ、あぁ……」  皇牙。……ごめん。 「今にも達しそうになっているが、まだまだ絶頂には早いぞ亜蓮。もう少し時間をかけて俺を楽しませろ」 「も、う……無理だ、……う、ぁ……」 「ペニスへの刺激だけで立っていられないなんて、信じられないだろう。……だがお前の体はこんなものでは足りないはずだ」 「うあ、ぁ……あ」  闇示が椅子から立ち上がり、ゆっくりと俺の背後に回った。 「この美味そうな尻から、直接」  剥き出しの尻を撫でられ、強く掴まれる。 「っ――!」 「欲しいだろ、……亜蓮・ストリッパー」  闇示の囁きに続いて、ファスナーが下ろされる音がかろうじて耳に届いた。  もう何もかも、どうでもいい。抗ってもこの男を悦ばせるだけならば、無抵抗でいることが俺のささやかな抵抗だ。  ……その前にもう、殆ど何も考えられないし。 「実を言うと、俺は生まれつき毒が効かない体でな。だからこそタランチュラを自在に扱い、飼い慣らすことができるのだが」  闇示の舌が、低い声が、俺の耳を滑る。 「そんな俺が、これまでに少しずつ体内に溜めてきた毒を、……お前の中で思い切り放ってやろう」 「……やめ、ろ……」  ぼんやりと声に出しながら、俺はそこに当てられた闇示の屹立に一粒の涙を零した。 「分かるか? 亜蓮」 「………」  助けて。 「この俺そのものが、レッド・タランチュラだ」  助けて、皇牙――!

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