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真夏の逃亡 35*

 最後は楽しかった夜を終え、理玖たちは代行の車に乗ってカドマツの実家に戻った。 「じゃ、何か理玖があったら連絡くれ」 「おう」  カドマツは「じゃあな」と軽く手を挙げて母屋の方の玄関へ入った。  理玖は自分たちが使う側の玄関を慣れたように開けると「どうぞ」と帆乃に先に入るよう促した。  バタンッ  玄関ドアが閉まって静寂が数十秒、黙ったまま靴を脱いでフローリングの少しの軋みが数歩聞こえて止まった時、帆乃と理玖は目を合わせた。そしてどちらからともなく近づき、キスをする。  触れるだけでは足りなくなって、唇を食んで、それでもまだ足りなくなって舌を絡ませて、それでもまだ満たされず、理玖は帆乃を軽々と抱きかかえ、帆乃は理玖の首に腕を絡ませて、キスをしながらソファへ移動する。  古いソファに背中から沈んだ帆乃に理玖は覆いかぶさる。 「ん、理玖、さ……ぁ…」 「帆乃くん……」  本能が剥き出しになった理玖の目が帆乃を興奮させた。互いの衣服を性急に脱がせ合い、もう隠すところはなくなって好きなだけ素肌に触れあえる。  数週間ぶりの相手の身体は見るからに変化していた。  帆乃はidの為に、理玖はegoの為に努力を重ねていた証でもある。  そしてidとego、互いの為に磨いてきた。  理玖は帆乃の傷に優しくキスを落とし、チュッチュッと音を立て強く吸い付きマーキングをする。久しぶりの刺激に帆乃は甘い声と吐息を我慢できない。 「ん、ぁ……や、あぁ…り……さ……ぁ…あぁんっ」  ぷっくりと尖った帆乃の胸の飾りを理玖は迷わず口に含んで、もう片方は指先で愛でる。 「あ、んん…っ、や、あぁ……」  襲う違和感と快感に身を捩らせながら、理玖の髪をクシャっと掴んでみたり、自分の指を食んだりするが、余計に刺激になり、間もなく帆乃のペニスは硬く熱くなる。 「あ、だめ…っで、出ちゃ…ぃ、ま…んん」 「いいよ」  理玖は口で愛でる先端をカリッと甘噛みし、反対側は指先で摘まんで少し引っ張る。ビリリと痺れが神経を震わせて、その感覚は甘美を含む。 「あ、あ、あぁぁあんっ!」  声と共にペニスが震えてドクドクと精液が流れ出てくる。全身を細かく震わせながら帆乃は絶頂をやり過ごそうとしたが、理玖に呼吸を奪われ、帆乃の乳首を愛していた逞しく美しい指先はツーッと下へ下へとなぞって、まだ硬度と熱を保ったままの帆乃のペニスへ。  クチュ、クチュと淫猥な音が響き、帆乃は助けを求めるように理玖の背中に手を回した。 「理玖さん…また、出ちゃう……っ」 「出していいよ……」 「でも、お、れ…だけ、んん…恥ず、かし……よぉ…」 「じゃあさ…」  理玖は帆乃の片腕を自分から引き剥がすと、その手を自分の屹立へ導いた。  帆乃の掌の細胞は一気に温度が上昇する。理玖の灼熱と蠢く脈動が、触れただけでまた一段と熱くなる。 「俺も、こんなだから」 「あ…ぅう…」 「一緒に、ね?」  凶暴に勃起している理玖のペニス、優しく微笑む理玖、全てが帆乃にとって媚薬だった。  2人は互いに相手のペニスを探るようにゆっくりと擦り、段々、段々と速度を速めていく。どこかの段階で理玖は呻きはじめ、帆乃は喘ぎが止まらない。 「うぅ…ぁ…っ、やばっ」 「ん、ん、んん…や、だめ、も…」  快感に負けて手の動きが疎かになる帆乃。理玖は帆乃の手ごと兜袷をし、帆乃の手を使って帆乃と自分のペニスを扱く。 「いや、や、理玖さ、やらぁ…っ!」 「はぁ、はぁ…っ、イ、く…っ!」  2人は同時に絶頂し精液を吐き出し、扱いてた手は2人分の精液でドロドロに塗れた。

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