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【1】『放課後』
竜ヶ崎学院は大学院、大学および付属研究施設。高等科・中等科・初等科。男子高等科・男子中等科があり、兄弟校として中高一貫校である東城灘大学付属中学・高等学校がある。
男子中等科の生徒会室にて会長を務めている春日・オズヴァルト・雅と、副会長である兄崎 優紀は目をショボショボとさせながら申請書類を眺めていた。
「ああ、だりぃ。もう秋なんだよねぇ。10月かぁ…美味しいものが多いけどさぁ、俺らにとっちゃある意味魔の季節だわぁ。」
兄崎の言葉に春日は、そうだなと相槌をうつ。
10月上旬といえど、夏の暑さは尾を引いている。
開けっ放しの窓から入り込む風は、熱を帯びていて清涼感は皆無だ。
「10月かぁ。11月は文化祭があるんだよなぁ。」
などと力ない声で呟きながら集中力が切れた兄崎はぼんやりとカレンダーを見る。
そう10月と言えば、文化祭の準備期間なのだ。
これが終われば俺たち三年は退任し、次期生徒会執行部は選挙で選ばれる。
「最後かぁ。そうだね、でもさあ、何というか…げんなりしてんだよね。最後の最後まで扱き使われるのね俺らって」
文化祭前の準備で生徒会室にて、春日と兄崎は無言で部活動団体や委員会より提出された申請書に目を通していた。地味な仕事だが、生徒会業務の7割程は書類との戦いと雑務だ。
生徒会執行部メンバーと聞けば、学園の中でも成績優秀でかつ生徒たちの信頼が厚くなければ立候補しても当選しないことから、生徒たちの憧れの的だと誰もが答える。
背を伸ばし、檀上へ立ち講堂で行事の挨拶をする姿にうっとりと夢見がちな顔をする生徒も多い。
実に華やかな印象が強いが、仕事の多くが雑用で占められている。
そう、生徒たちが学園生活をより快適に過ごすための組織であり、雑用係りでもあるのだ。
10月上旬といえば――文化祭前だ。イベント前に浮足立つ学園の裏で、生徒会執行部内は事務局を含め死屍累々たるありさまである。
申請書類の処理はいつも行ってはいるが、特に文化祭前になれば生徒会執行部に提出される申請書類はいつもの倍だ。部活動団体より申請された文化祭展示品および、模擬店の予算報告書を目を通していると、隣の席で書類を目に通していた兄崎が春日の袖を軽く引いた。
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