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【3】『罰として、本当のことを一つだけ言おうか』
「何だよ?」
「目瞑って」
…???
何をする気だ兄崎。
何を企んでいる兄崎。
「何のために」
「何警戒してるの。」
「兄崎だから」
変態だから。
「…そんなに襲われたい?」
「あぁん?」
「怖い?」
兄崎如きを怖がっていると思われるほうが屈辱だ。
互いに苛ついていたのだろか、険悪な空気が漂う。
神経を研ぎ澄まし空気の流れを読んでいると突然瞼に冷たいものが乗せられた。
「??」
「目を酷使した時とかやらない?」
「あぁ、成る程」
「少し寝てても良いよ」
冷蔵庫の中で冷やしていた濡れたタオルを瞼におき一息ついた。
目の奥にじわりと広がる疲労が和らぎ痛みをともなった熱さが引いていく。
気持ちが良い。
しかし、仕事は依然とそこに存在したままだ。
「…これはこれで退屈だ。仕事しねぇと」
「いやいや、休憩しようよ。あー、そうだ。しりとりでもするか?知ってる?しりとり」
「あぁ、言葉遊びだろ?しりとり、リス、スルメ、目玉…と続くあれか?」
「あれ?しりとり、リンゴ、ゴリラ、ラッパじゃない?まぁ、良いや」
「ん…が、駄目だったっけ?」
「そう。ん、を言ったら負け。」
「ぉぉ、そうか。」
「負けたら…そうだな。罰として、本当のことを一つだけ言おうか」
「本当のこと?」
「そう。勝った方が負けたほうに一つだけ、秘密を打ち明けるんだ。嘘偽りなくね」
「ありがちだ。」
「悪い?」
それよりも、さっさとデスクまで戻してくれ。
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