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【8】『勝ったのに負けた気分だ』
「プラチナのナから続く言葉が尽きたのか?あぁ?、さぁほら言ってみろ!!ナから続く言葉を!どうした!兄崎!手前こんにゃろ」
「名残の白濁液!如何だ春日」
何故胸を張り偉そうに言うのだろう。
この後も兄崎は偶に春日の知らない言葉を口する。
多分いやらしい言葉だろう。
兄崎の優し気な顔からは、想像できないほど下品な言葉のオンパレード。
1時間20分を越えたが、まだまだ猥褻な言葉は尽きない。
一度くらい詰まっても良いと思うのだが、さらさらと流れるように言葉は溢れるのだ。
彼の頭の中にはあとどれくらい猥褻な言葉が残っているのだろう。
まぁ、良い。
休憩時間をそろそろ終わらせよう。
休憩どころか余計に疲れる。
「生フェラチオ」
「…はぁ」
溜息が出る。
「もう止めようぜ。」
「止めて欲しい?止めても良いの?ん?んん?」
「…お前ぇが言うと、エロいんだよ」
「いやらしい目で俺を見てるからそう思うんだ。」
「脳外科へ行く事を勧める。『オ』だろ。雄」
「好き」
「…。珍しい。ついに猥褻な用語のストックが切れたか。色々安心したぜ。」
「返事は?」
「…キス」
そう言い掛けると、引き寄せられて唇を奪われる。
掠め取る程度のそれに、軽い眩暈を覚えた。
「キスは俺がいっただろ。残念。お前の負け」
「…、だから本当のことを言った」
「ん?」
好きだなんて言いやがるから。
「負けたと思ったから、秘密をひとつ打ち明けた」
「へぇ」
「強烈だ。かなりきた。」
「嬉しいね」
「だから今すぐして欲しいこと、したいことを正直に言ったのさ。」
「…。」
「何だその面は。素直に負けを認められたのが気に食わないのか?捻くれ者め」
「いや。勝ったのに負けた気分だ」
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