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正体①
「ん……」
目が覚めるとそこは真っ暗だった。
しかも手足を縛られているようで身動きが取れない。
辺りをよく見ると天井が幌に見えるので、もしかしたら幌馬車に乗せられているのかもしれない。
すると外から複数の声が聞こえるが勿論言葉は分からない。
暫くすると足音がこちらに向かってくる音がして、ケイを捕らえた牛が現れた。
「*****」
何か一言言うと身動きの取れないケイの足の縄だけを解き、外へと連れ出した。
外はもう暗くなっていて夜なんだと理解出来る。
そして自分がいた場所はやはり幌馬車だと思ったその時
「うわっ」
巨大なトカゲのような生き物がこちらを見ていた。
どうやら馬ではなくこのトカゲが車を引いていたようだ。
驚きを隠せないケイだが、牛は構わずケイを何処かへ連れて行く。
少し歩いたところに白衣を着た三人の獣人がいた。
そして牛と彼らは一言二言話すと牛はケイを白衣の獣人に渡し、去っていった。
置いていかれたケイを白衣の彼らが観察するように見つめる。
「……なんだよ?
こっち見んじゃねぇよケモノ野郎!!」
どうせ日本語は分からないだろうとジロジロと見られる事に不快感を露にし、暴言を吐くケイに獣人の一人がにっと笑った。
「なるほど、これは興味深い」
「え?」
白衣の男から聞こえたのはまさかの日本語で、自分の暴言が丸分かりしてしまったので少し焦った。
しかもノイルよりも流暢な日本語だ。
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