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すれ違い③

「全く、とんだ邪魔が入った」 ネズミのギャペラ、キークは細長い尻尾をくねくねさせながら部下を伴いながら廊下を歩いていく。 折角面白いものを見つけたのに、たかが軍人の大尉ごときに渡してなるものか。 「まぁ、確かにあの男があれを取り返したい理由はよく分かる」 歩みを止めた先の眼前にいるこちらを睨み付ける青年を見てニヤリと不適な笑みを浮かべる。 『さてさて、早速君を隅々まで調べようと思っている』 『何する気だよ……』 『君のような混じり者は過去ほんの三件しか報告されていない。 しかも残念なことに繁殖能力がないんだ。 君も彼らと同じなのか、実際やってみないと分からない』 つまりケイを他の女性と交わらせ子が出来るのか試したいらしい。 そして仮に子が出来ればその子はケイと同じように混じった姿になるのか…… そもそもケイの性質はライオンなのかジャガーなのか…… 他にもどうやって異世界へ行き来したのか、 彼の体の変化などキークは調べる気だ。 『ふざけんな!! 俺は実験体じゃねぇぞ!!』 当然ケイは全力で拒否するが、彼らはお構い無しに鉄格子の扉を開き、ケイの腕を両脇から掴む。 『離せって!!』 ケイは必死に抵抗するが、暴れるケイの前にキークは注射器を取り出した。 『暫く眠っていてもらおう。 暴れられては困る』 するとケイは腕を後ろに回され、床に倒される。 『クソッ、止めろ!!』 しっかりと押さえつけられ、動くこともままならない中、注射器が腕に近付いてくる。 『止めろ!!』 嫌だ、止めてくれ…… こんな奴にいいようにされたくない…… そう強く思った瞬間、目の前が一瞬真っ暗になった。

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