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第19話:

 思いきり憂鬱な週末を終えて月曜日、喫煙室でたばこをふかしていると小島が声をかけてきた。 「なんだよ、おまえ疲れた顔してるなぁ。週末何してたんだよ」 「別に。むしろ、何もしてない」  それは紛れもない事実だ。 「寂しい週末送ってんなぁ。つーか、望月ちゃんと最近どう?」 「どうって?」 「最近、仲よかったのに、なんか急によそよそしくね?」 「そうか?」  やはり小島は気づいていたようだった。確かに、動画の話をするために昼食を一緒に食べたり、立ち話程度に話をしたり、ということはあった。けれど今は、そういうことがないだけだ。 「おまえが望月ちゃんを捕まえておかないから、さっき太田の毒牙にかかってたぞ」 「毒牙ってなんだよ、そもそも太田課長は望月の上司だろ」  ふと、望月と太田の関係を思い出し、嫌な気分になる。それさえも、今となっては自分には関係ないはずなのに。 「いやぁ、さっき、なーんか二人が親密そうな話してたけどなぁ。妙に距離が近かったし、いいのか? 嫁のピンチだぞ」 「おまえ、望月を俺のなんだと思ってんだよ」 「えー、でも望月があんなに懐いてるのは、おまえだけだぞ」 「それがどうして、俺の嫁になるんだよ。いらねーよ、あんなわからずやな嫁」  大橋は、ぼやきながら、勢いよく吸っていたタバコをねじ消した。 「あ、やっぱ何かあったんだ。望月ちゃんと喧嘩でもした?」 「なんもねーよ」  やたらと今日は小島が絡んでくるな、と思いつつ、大橋は無意識にスマホを開く。条件反射で、すぐにソウのページに飛んでしまい、もう癖になってるのか、と呆れた。  別にチェックする必要もないか、と早々にスマホの画面を閉じようとしたら、信じられない画面になった。 『このアカウントは存在しません』  サイトにあったソウのアカウントは削除されていた。

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