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乾いた喉が引き攣りそうになりながら、なんとか言葉を絞り出す。
「あの、紙って……」
「五カ月前に、君のポストに入れていた紙だよ。花の形に折られていた紙だからわかりやすかっただろう。丁度遊びに来ていた孫が折ってくれてね」
――ごめんなさい、その折り紙のこと知りません。
思い出しているのか嬉しそうに語る大家さんに対して、俺は軽く意識を失いそうだ。
それよりも立ち退きの紙を折り紙にしてしまうのは流石に止めて欲しかった。
最悪なことに、新聞をとっていない事や、一年目で慣れない大学生活やバイトの忙しさに追われてろくにポストは確認しないのだ。
呆然とする俺に、大家さんが申し訳なさそうに俯く。
「すまないね、私も歳でね。あそこから孫たちのいる家に一緒に住むんだ」
「――いえ、大丈夫です……あの、良かったですね。一緒に住むことになって」
大家さんの言葉に、それまでぐちゃぐちゃになって全身を駆け巡っていた怒りとか焦りとか一気に萎れてしまった。
精一杯浮かべた笑みはぎこちないだろうが。
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