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家という一番の問題は解決した筈なのに、先行きがとても不安だった。 それからとぼとぼと帰宅し、緊張してあまり眠れない夜を過ごした。 あっという間に朝になり、郁也さんとの約束の時間まで五分前にアパートの前で立っていた。 今日は日曜で大学は休みで、加えてバイトもないため時間には余裕がある。 「……夢じゃ、ないよな?」 眠る間もずっと頭から消えなかった不安が膨らむ。 郁也さんに告白されて、しかも郁也さんは社会的地位の高い人で、そんな人に住み込みの家政婦を申し込まれたのだ。 なんの取柄もない一般人にしてみれば非現実過ぎて、こうして待っている間も落ち着かない。 自分の生活が関わっているとなれば尚更だった。 思わず俯いて、込み上げたため息を零そうとした時だ。 「おはよう。待たせてすまない」 「お、おはようございます……!」 不意打ちのように掛けられた声に慌てて振り返り、そこに立っていた郁也さんに頭を下げる。 ……現実、だった。 夢じゃなかったと、内心安堵のため息を吐いた。 「その……今日は来てくれてありがとうございます。お仕事、大丈夫ですか?」 「ありがとう。仕事は大丈夫だ。今日は休みをとってある」 言われてみれば、郁也さんの恰好はスーツではなく、ラフな格好だ。手には大きな茶封筒を持っている。

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