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09
「密、良ければこれから何処かに出かけないか?」
「いいんですか……?郁也さんはお疲れだと思いますし、せっかくのお休みだから俺は家でも大丈夫ですよ」
気を遣ってくれているのだろう。
郁也さんと出かけられるのは嬉しい。恋人になっての……初めてのデートだ。意識すると顔が熱くなるのを感じた。
勿論郁也さんに負担を掛けるつもりはないが、やはりどうしても嬉しくて胸が高鳴ってしまう。優しい郁也さんに聞こえていなければいい。
「休みだからこそ密と出かけたい。俺にとって密との時間がなによりの休息だ。俺とデートしてくれるか?」
「……っ!はい!」
かあああっと全身が熱くなる。デートと、はっきりと口にしてくれた事がなにより嬉しくて胸がじんわりとする。
「希望はあるか?」
「俺はどこでも。その……郁也さんと一緒ならどこでも楽しいですから」
羞恥心に俯きそうになるが、勇気を出して本音を伝える。すると郁也さんは嬉しそうに微笑んでくれて、俺の髪に撫でるように触れる。
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