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「はい!!」
突然の「はい!!」に皆驚いて声の方を剥く。僕も驚いて皆が向けた視線の方を見ると
…………目を奪われた。
「え?何あの人、めっちゃイケメン…」
「やばいって、リアル王子…」
「こんなかっこいい人…初めて見た……」
女子が一気に騒ぎ出す。男子もその顔立ちに目をぱちくりとさせていた。
「じゃ、じゃあ、質問どうぞ…」
先生がそう言うと、そのイケメンは僕の方を見るとニコッと笑う。
胸がドキンッとした
「羽野…だよね?入学試験1位だったのって」
皆が一斉に「え?」っと声を出す
「はっ、はい…そうです……」
僕が吃りながら答えると
「やっぱり!!じゃあじゃあ…入学試験で1番良かった点数は?」
皆の視線がまた僕に集まる。
「えっ、えっと………数学と英語の395点…」
「「え!?!?」」
ビクッ
突然の大声に肩を一瞬震わせると
「すげー!」「めっちゃ賢いじゃん!」「あれ400点満点だよね?」「俺なんて210点が1番良かったぜ!」
一気にムードが和んだ。
たっ、助かった…のかな?
「はいはい!次の人に行くぞー」
先生の声でまた自己紹介が進んでいく
ここぞとばかりに皆自分を言葉でアピールしまくっていた。
僕はさっきの疲れで椅子に座りながらぼーっとしていると
「じゃあ、次!!お、大本命じゃねえか?女子ども!」
さっき助けてくれたイケメンの番になった。
皆一斉にイケメンの方を向く、僕もぼーっとしていた頭を動かし、皆の視線の先を向いた。
「河木夏喜です!好きな季節は夏で、この名前がめっちゃ気に入ってます!!」
…夏喜、名前にピッタリな人だ。明るくて誰からも愛されているに違いない。
僕とは……真逆だ。
「ちなみに、数学と英語の点数は28点と35点です!」
皆が一斉に笑い出す。
…というか、入学試験の点数がそれって…よくこの学校入れたな…
「俺より悪いじゃねーか!(笑)」「やっば!よくその点で入れたな!!」「私が勉強教えてあげよっか??」
皆が一気に話しかける。 …やっぱり真逆の人だ。
ぼーっとキラキラ輝く笑顔を見ていると
ニコッ
………え?
一瞬目が合って微笑まれた。
他の誰かに微笑んだのかと周りを見るが、そもそも隣や周りに人はいないし、クラスの中でも先程と変わった様子の人はいない。
……本当に僕にしてくれたの?こんなダサくて陰気で前髪の長ーい眼鏡に?
そういえば、質問もリアクションも僕以外の人にはしていなかった。
ただただ、困っていた僕を助けてくれただけなのかもしれないし、そういうのを見てられない性格の人なのかもしれない…
けど、僕はドクドクとなり続ける胸を抑えきれなかった。
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