⚠ 第2章～第4章までが高校1年春・夏・秋の流れとなっていおり、第5章からは第1章の、高校1年・冬に戻りますのでご注意ください ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ キーンコーンカーンコーン…… 朝休みを終えるチャイムが鳴り響くと杉山先生が教室の中に入ってくる。 ｢お前ら席に着けよー！｣ いつも通り、朝のホームルームが始まった。 ｢……あ、河木！そういえば、朝のあの格好はなんだ！(笑)｣ ｢え？杉山Tまで俺をいじんの？｣ ｢いやいや、あれはいじれと言ってるようなもんだろ(笑)｣ クラス中が笑いで包まれる、先生の間でも冬の河木くんの格好は話題になってるらしい。 キーンコーンカーンコーン… ｢これで、朝のホームルームを…｣ 学級委員のホームルームを終える挨拶がクラスに響き渡ると、他クラスの女子たちがぞろぞろと教室の前にやってきた。 お目当ては、もちろん河木くんだ。 ｢なっ、夏喜くん！｣ 女子グループの中にいた大人しそうな子が、グループの女子に促されつつ、廊下から河木くんを呼び出す。 ｢ん？なに？？｣ 河木くんは首を捻らせると女子グループの方へ駆け寄っていった。 人への気遣いなど、空気を察知するのに敏感な河木くんだが、恋愛となると一気に鈍感になる。 きっと、頬を赤らめる女子達に河木くんは気づいていない。 ｢こ、これ…ココアなんだけど、良かったら｣ 大人しそうな子が河木くんにココアを差し出す。 (好きな人にココアを渡せるなんて…、それも河木くんに) 僕はほんの少しだけ羨ましくなった。 ｢あ……ごめん、俺甘いの苦手なんだよね｣ 河木くんが申し訳ないといった、困った顔を見せる。 女の子が少し悲しそうな顔をした。 ｢あ、けど貰ってもいい？蓮がココア好きなんだよね｣ 女の子の表情に気付いたのか、河木くんはいつものキラキラ笑顔でそう言うと、サッと女の子に手を差し出す。 ｢もっもちろん！｣ 女の子は頬を赤らめると、河木くんの手にココアを置き、グループの子達とキャッキャッ騒ぎながら自分のクラスへ帰っていった。 そりゃ、河木くんに渡せたことも風隼さんにココアを飲んでもらえることも、女子達にとったらこの上ない幸せだろう。 ……いいな、僕も女の子だったら…あんな風に話せたのかな そんな、虚しくなるだけの‘もしも’話を考えていたら、1時間目の美術に向けてクラスから人がズラズラと出てく。 僕も慌てて教科書を手に持つと教室から出た。