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全体練習も終わり、後は今日試合する須賀 高校を待つだけになった。
「河木はサッカーになると寒さも気になんねぇんだな」
「あ、加藤 先生」
休憩をしている俺に顧問の加藤先生が声をかける。
「ほれ、暖かいお茶」
「ありがとうございます!」
優しくて生徒思いな加藤先生は、俺がいつも試合前に飲む、暖かいお茶を自販機で買ってきてくれた。
「あ!!!つっきーだけずりぃ!俺にはないの!?」
「田辺 …お前なぁ…」
陽斗が先生と話す俺の間を割って入る。
呆れ顔な先生だが、人懐っこい陽斗がかわいいらしく、何だかんだいつも陽斗を甘やかすんだ。
「ほれ、お前の分も」
「やったー!さすがかとちゃん!!」
「ちょ、お前かとちゃんて…」
まさかのかとちゃん呼びに思わず突っ込むと、
「いいのいいの!かとちゃんには許可貰ってるから!」
と陽斗が俺にウインクをして返した。
「おい…田辺、俺はいつ許可した?」
「ええええ!!!かとちゃん呼び喜んでたじゃん!?」
「……お前レギュラーから外すぞ…」
「えええええええええ!!!!!かとちゃんやめてええ!!」
陽斗の慌てぐわいに思わず笑ってしまう。
そんなに慌てなくても東雲高校サッカー部は部員数ピッタリ11人。
レギュラーから外したくてもなかなか外せないのが現状、ましてやキーパーを担当している陽斗は必ず試合に出なくてはならない。
それに気づかない陽斗は天然なのか……バカなのか…
「…あれ?あれってつっきーと最近仲良い子じゃない?」
「えっ!?」
思わず座っていたベンチから立ち上がり、客席となる体育館の大階段を見る。
(……いた)
大階段には座らず、体育館のフェンスに手を置いて立っている羽野の姿を見つけた。
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