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第7章 freesia~フリージア~
「あ、あの…」
僕の腕を持って部室を出たひろさんは、何も発さずにズンズンとどこかへ向かっている。
「ひ、ひろさん?」
後ろから見るひろさんの姿は何を考えているのか全く分からない。
掴んだ手の熱だけが、じわじわと僕の腕に広がっていった。
「…はぁぁぁ」
「…え?」
ある場所でひろさんが突然止まり、息を大きく吐き出す。
それに僕は思わず声を出してしまった。
「本っ当にごめんね!!!」
「え、い、いやいや、…間違ってませんから、部員の方が言ってたこと…」
そう、何一つとして間違ってないだろう。
僕なんかがサッカー部のマネージャーとして入るのもおかしなことだし、河木くんの気まぐれ…確かにそうなのかもしれない。
「…ねぇ、まさかホントにつっきーがはのくんのこと気まぐれだとか、目覚ましてないとか思ってる?」
ビクッ
突然思っていたことをまんま言われて肩が強く揺れた。
「…はぁぁ、やっぱり」
ひろさんはまた大きく息を吐き出す。
仕方がないことだろう、こんな奴に構ってくれるなんて…今は興味本意かボランティア以外考えられない。
そりゃサッカー部員も巻き込まれたくないだろうし、関わりたくないだろう。
変わっているのはむしろ、なぜか気にかけてくれるイケメン3人組の方だと思った。
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