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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「――っの!」
……あ、れ……俺……
「――はっ、の!!」
…だれ?……早く、友達の…っところに……
「――羽野!!」
「……っ、あれ…俺……」
「…え、俺…?」
(……ここ、どこ?)
視線の先には白い壁と…
「河木…くん?」
心配そうな顔をした河木くんがいた。
(…そうだ、今は高校だ。)
その事を思い出し、少しだけ肩をホッと下ろした。
「大丈夫?あなた、また倒れたのよ?」
「…斎野、先生」
思い出した。ここは、保健室だ。…ということは、また倒れたのか…?
「またまた、王子様に助けられちゃって♡」
斎野先生はそう言いながら、いつかの日と同じように僕の頭に濡れたタオルを当ててくれた。
(……ん?また…?)
まだ少しだけボーッとする頭の中で、斎野先生が言った言葉をリピートさせる。
「え、…またって……どういうこと…ですか?」
「あれ?言ってなかったの?」
斎野先生はびっくりしたような顔をしながら、河木くんの方を向き、問いかける。
「あ、はい…言う必要ないかなって…」
河木くんの答えにますます僕は首を傾げた。
「んもう、だったら早く言ってよ…そしたら、言わなかったのに……」
「いや、もう言ってたのかなぁって…」
二人の会話に着いていけない…
僕の質問が見事にスルーされてる気が…
「…あ、あの…」
「あ!ごめんなさいね置き去りにして」
「いえ、…大丈夫…なんですけど……」
「まぁ、ここまで来たら言うしかないわね」
斎野先生が「はぁ」とひとつため息を着く。
「あの時の王子様は河木くんよ」
「………はい?」
何を言っているのか、全く分からない…
「だから、お姫様だっこをしてここまであなたを連れてきたのは、河木くんなの!」
…バタン
「は、羽野!?」
「羽野くん!?」
僕は衝撃の事実にそのままベッドへ倒れ込んでしまった。
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