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第11章 change~変化~
(夏喜side)
「涼」と呼ばれた男が羽野を連れ去っていってから、俺は何も出来ずにボーッとその場に立ちすくむ。
(…どういう関係…)
東雲学園の生徒でないことは分かる…
なら、中学の頃の友達…?
そもそも、羽野って何中だ?
それにあの男、羽野の姿を見て「…なんだその格好… 」って言ってた…
「くそっ……」
イライラする…、羽野のことを全く知らない自分も引き止めきれなかった自分も…
連れ去っていった、あの男の存在も
(なんでこんな気持ちになってんだよ…)
空から雪がハラハラと舞落ちてくる。
あんなにも嫌いだった冬の寒さが、今は何も気にならない。
ただ、頭の中にあるのは羽野のことだけ…
「……夏喜!?」
(…誰?)
「つっきー!?…なんでまだここに…」
(…蓮と、陽斗…?)
目線の先には、驚いた顔で俺を見る蓮と陽斗。
そのまま二人は走って、俺のそばに駆け寄って来た。
「なんで…冬麻くんを送るんじゃなかったの?」
ズキッ…
「…とっきーは?」
(羽野?………羽野、は…)
「連れ去られた…」
「「……は?」」
俺の言葉に二人の声が合わさる。
いつもなら「仲良いなぁ」とでも言えるんだけど、今は…そんな気力もない。
「「………」」
そんな俺に驚いてか二人は無言で顔を合わせる
「と、とりあえず…さ」「…俺の…家、来る?」
(……陽斗の家…?)
心配そうに見つめる陽斗の手元には少し大きなコンビニ袋…蓮も陽斗ほど大きくないコンビニ袋を持っていた。
(…蓮とこの後過ごす予定だったんだろな…)
ほんの少し、申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、自分の家に帰る自信が無い…
「…ごめん、行ってもいい?」
俺の問いかけに陽斗は「もちろん!」と笑顔で答えてくれた。
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