137 / 437

第11章 change~変化~

(夏喜side) 「涼」と呼ばれた男が羽野を連れ去っていってから、俺は何も出来ずにボーッとその場に立ちすくむ。 (…どういう関係…) 東雲学園の生徒でないことは分かる… なら、中学の頃の友達…? そもそも、羽野って何中だ? それにあの男、羽野の姿を見て「…なんだその格好… 」って言ってた… 「くそっ……」 イライラする…、羽野のことを全く知らない自分も引き止めきれなかった自分も… 連れ去っていった、あの男の存在も (なんでこんな気持ちになってんだよ…) 空から雪がハラハラと舞落ちてくる。 あんなにも嫌いだった冬の寒さが、今は何も気にならない。 ただ、頭の中にあるのは羽野のことだけ… 「……夏喜!?」 (…誰?) 「つっきー!?…なんでまだここに…」 (…蓮と、陽斗…?) 目線の先には、驚いた顔で俺を見る蓮と陽斗。 そのまま二人は走って、俺のそばに駆け寄って来た。 「なんで…冬麻くんを送るんじゃなかったの?」 ズキッ… 「…とっきーは?」 (羽野?………羽野、は…) 「連れ去られた…」 「「……は?」」 俺の言葉に二人の声が合わさる。 いつもなら「仲良いなぁ」とでも言えるんだけど、今は…そんな気力もない。 「「………」」 そんな俺に驚いてか二人は無言で顔を合わせる 「と、とりあえず…さ」「…俺の…家、来る?」 (……陽斗の家…?) 心配そうに見つめる陽斗の手元には少し大きなコンビニ袋…蓮も陽斗ほど大きくないコンビニ袋を持っていた。 (…蓮とこの後過ごす予定だったんだろな…) ほんの少し、申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、自分の家に帰る自信が無い… 「…ごめん、行ってもいい?」 俺の問いかけに陽斗は「もちろん!」と笑顔で答えてくれた。

ともだちにシェアしよう!