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(冬麻side) ……僕は今、ひろさんの家にいる。 「ねぇひろくん!お腹減ったぁ」 「えええ!そんな事言われても…」 風隼さんの涼への出任せだと思っていた言葉は、家に帰ろうとする僕を止められ、無理矢理実行に移された。 (…ど、どうしよ……ほ、ホントに泊まってくの???) 中学の頃でも、誰かの家に泊まったことなど一度もない。 一晩とはいえ、誰かと一緒にいることへの心配は大いにあったが、それ以上に…… (め、眼鏡と前髪…どうしよ……) お風呂はまだしも、寝ている間は眼鏡を外した姿を見られる危険性大だ… わざわざそんな事を企むなんて事はこれっぽっちも思ってないけど、自然と見てしまう可能性だってある。 「初めまして〜、陽斗の新しいお友達かしら?」 そう言って、ひろさんの部屋に入って来たのは、優しい雰囲気を持った女の人。何処かしらひろさんと似ている様にも感じた。 「あ、は…初めまして……」 吃ってしまいそうなのを必死に抑え、出来るだけスムーズに話せるよう、意識する。 「人様の親御さんには、失礼な態度をとるな」 家の父親が言っていた言葉だ。 「お風呂湧いてるからねぇ」それだけ言うと、ひろさんのお母さんは部屋を出ていく。 「涼くん以外の人でもあんなにスラスラ話せるんだね」 風隼さんはびっくりした様な顔をして、僕にそう言った。

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