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ひろさんと風隼さんに言われて、先にお風呂に入らせてもらう。
ふと、部屋で言った風隼さんの言葉を思い出した。
(…涼以外の人にスラスラ話せてる…か)
親から嫌という程言われていた事には、性格が変わろうとも、自然と行動に移している。
今までなら絶対に許さなかったであろう、一人暮らしを提案してきた父親の顔を思い浮かべ、思わず拳を握りしめた。
(捨てられた…)
あの悪夢の日、何もかも失われた俺に掛けてきた父親の提案。
今までの態度と違う、優しい…“人様”に見せる顔を僕に向けた父親は、勉強の事で何度も殴り続けた父親の顔よりも、冷たく軽蔑していた。
その瞬間、捨てられたのだと全てを悟った。
頭がガンガンと痛くなる。
(…涼と会ってから…暫く無かったのに……)
けど、ここで倒れる訳にはいかない。
強くなるんだ、父親から捨てられたと同時に自由になれたんだ…、大丈夫……
自分にそう言い聞かせながら痛む頭を抑え、シャワーのコックを閉める。
大丈夫…今は、風隼さんがいる、ひろさんがいる…河木くんがいる。
それに、涼もいる。
過去に囚われずに、生きていくんだ。
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