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髪の毛を乾かし、眼鏡をかけ、顔から上半分を隠す。 用意されていたパジャマは思っていたよりもピッタリでびっくりした。 てっきりひろさんのパジャマを出される物だと思っていたから、大きめ覚悟でいたんだけど… 「あぁ!俺の家に泊まる奴多いからさ、パジャマ常に色んなサイズ用意してあんの」 そう言いながらゲームをするひろさんに驚きを隠せないでいる。 下手したら東雲学園一、友達が多いとまで言われていたひろさんだけど、まさかパジャマを用意するとまでは… だから、ひろさんのお母さんも慣れていたんだろう。 「ねぇねぇ、とっきー!」 ゲームを中断したひろさんがニコニコ笑顔で俺に話しかけてくる。 「な、なに?」 顔が近くて思わず後退りすると、ニコニコ笑顔のまま、更に近付いてきた。 「敬語、ちょっとずつ無くなってきてるね」 「……え?」 「うっれしーなぁぁ」 ひろさんに言われて少しびっくりする。 …そう言えば、徐々にだけどひろさん達に敬語を使う回数が減ってきていたみたいだ。 それも、無意識のうちに。 「ねぇねぇ、無意識って事だよね?だったら、友達として認めてくれてるってことだよね!?」 ニコニコ笑顔にキラキラをトッピングしたひろさんはそう言うと、僕の腕をブンブンと振る。 腕が取れそうになったが、そんな事で喜んでくれるひろさんに心がホッと温かくなり、安心した。 (……涼、僕は少しずつ前に進めてるのかも、しれない)

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