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それが、いつからだろう。
見ていくうちに、冬麻の心の寂しさに触れるようになったのは。
話すようになってから、作品ではなく1人の人間として
惹かれていったのは。
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「涼!」
高校2年 初夏
その日はあまりの暑さと明るさに耐えきれず、古い資料室の中で寝ていた。
そんな中、気持ちよく寝ている俺を現実に戻させる扉の開く音と眩しい光、そして…
「涼、起きて!授業始まる!」
汗さえも爽やかなアイテムにさせてしまう、モテ男
「…めんど」
「ちょ!ダメだって!!」
真面目なのか心配性なのか、俺の成績や出席日数を気にして授業に引っ張りだそうとする冬麻。
相変わらずのその光景がちょっとだけ居心地良くて眠る振りをするとあたふたと慌て出す冬麻。
教室では、‘ 皆のもの ’が暗黙のルールになりつつある冬麻を独占できる、貴重な時間だ。
けど…
「……な、なに」
冬麻の目の奥の方をジッと見る。
「……なんかあった?」
「…え?」
「親父さんと」
「………」
冬麻は嘘をつけない
「…バレた?」
悲しそうに笑う冬麻に胸がギュッと苦しめられる。
思わず抱きしめてしまいそうな腕をグッと堪え
ふわっと優しく頭を撫でた。
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