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第14話

「くッ。ぅうっ……」  押し殺した声。  やはり啼かないのだ。 「なんだよ、気持ち悦くねえのかよ」  嘲るような声をかけてみた。  そんなはずはない。  まだ未熟ながらも、そのペニスはちゃんと勃ちあがっているのだから。  イナスの舌の動きに、手の動きに合わせて身悶え、熱い息を吐いているのだから。  だが、同時に違和感も感じた。  こんなに感じているはずなのに、一向にその先端から体液が漏れ出てこないのだ。  まさか。 「まさかお前、まだ出したことねえんじゃ」  びくん、とリーンの体がこわばった。  イナスはその体を弄るのをやめ、返事を待った。  やがて、小さな声で囁かれた言葉。 「た、す、けて」  後は手で顔を覆い、丸くなってしまった。  肩が不規則に震えている。  泣いているのだ。  どす黒く、重い鉛がイナスの胸にどろりどろりと流し込まれてきた。

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