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第16話
「たすけて、か」
ずっと、誰かに言いたかったのだろう。
この生き地獄から、救われたかったのだろう。
だが、ついにナガに目を付けられてしまった。
壊してしまう勢いで、リーンを揉みしだいていたナガ。
これからのリーンに無間地獄が待ち受けていることは、イナスにも容易に想像がついた。
何とか助けてやりたい。
救ってやりたいのは山々だ。
だがしかし。
「ダメだ。ナガは強すぎる」
どさり、とリーンの横に身を投げ出し、イナスはため息をついた。
歯向かえば、死。
それは、リーンにも充分解かっているはずだ。
なぜ、俺なんかに助けを求めてきたのか。
俺が、ナガに勝てるとでも思っているのか。
「そんなわきゃ、ねえよな」
困らせないでくれ、と髪を撫でた。
柔らかな、絹のような髪。
触れているだけで、その香りに浸っているだけで、心が、体が泡立ってくる。
そういえば、お預けを食ってしまったのだ。
一度は萎えた分身が、再び硬くなってくる。
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