30 / 36
第29話
止めようとその身にすがったリーンをナガは張り飛ばし、脚をつかんで引きずってベッドへと放り投げた。
惨い蹂躙が再び始まる。
だが、どんなにいたぶられようとリーンはやはり声をあげなかった。
先ほどまでの可愛らしい甘えた声はどこへいったやら、固く噛みしめた唇の間から漏れ出すのは、押し殺した苦悶の響き。
「ぐッ、ぅん、んんんッ」
「啼け! 声を聞かせんか!」
無駄だよ。
床に転がって動けないまま、イナスはおぼろな意識でそう思った。
にやりとゆがめた唇から、血の塊を吐く。
あばら、何本か折れたかな。
それでも、心は晴れ晴れとしていた。
ともだちにシェアしよう!