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第29話

 止めようとその身にすがったリーンをナガは張り飛ばし、脚をつかんで引きずってベッドへと放り投げた。  惨い蹂躙が再び始まる。  だが、どんなにいたぶられようとリーンはやはり声をあげなかった。  先ほどまでの可愛らしい甘えた声はどこへいったやら、固く噛みしめた唇の間から漏れ出すのは、押し殺した苦悶の響き。 「ぐッ、ぅん、んんんッ」 「啼け! 声を聞かせんか!」  無駄だよ。  床に転がって動けないまま、イナスはおぼろな意識でそう思った。  にやりとゆがめた唇から、血の塊を吐く。  あばら、何本か折れたかな。  それでも、心は晴れ晴れとしていた。

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